荻上チキ「いじめを生む教室」
- 加藤亮太
- 1918年11月21日
- 読了時間: 4分
を読みました。(PHP新書 2018年7月発行)
いじめが生まれる。・・・それはいけない!
・・・・・・そんなこと、誰でも知っている。
そうです。ずいぶん前から我々は
「いじめ、ダメ!ぜったい!」
と、思ってきたはず。
なのに、いじめは一向に無くならない。
なぜ?
むしろ最近増えている?
種類も変わってきている?
本書は、近年のいじめの実態を、具体的なデータで明らかにするとともに、それらデータから見えてくるいじめを撲滅する方法を示しています。
それが、ワイドショーのコメンテーター的な、経験・勘・主観的意見・感情から、ではなく、できるだけ科学的な理屈でもって示しているところが、本書の“キモ”です。
帯キャッチ「『やさしさ』だけでは、子どもは守れない」という文句に惹かれたのと、
私・カトウと同年代の筆者(1981年生まれ)の顔写真の、神経質・理屈屋風な佇まいに惹かれて、手に取りました。
社会学者の古市憲寿氏にも似た、あの理屈屋さん風の筆者が、「いじめ」という、モヤモヤと不愉快な、誰もが胸にイチモツ・わだかまりある問題をどう扱うか。
それがやっぱり、筆者、あらん限りの理屈で、ぶった切っていきます。
期待を超える精度で、データ分析に基づく施策、という刀を、がんがん振りおろしていきます。
経験・勘・意見を排除し、否定し、
何より大切なのは理屈の通った施策だ、データ分析に基づく施策だ、と。
かくいう私・カトウも、学生時代、いじめの被害者でもあり、また時には、見て見ぬ振りをする半加害者=イヤ〜な取り巻きの一人でもありました。
そんなモヤモヤを抱えたままの私にとって、筆者の振り抜く“理屈の刀”の切れ味の鋭さは、快感ですらありました。いいぞ、チキ、いいぞ。(チキ・・・不思議な名前)
さて、
「いじめはダメ!」
「いじめられる方にも問題があるかもね」
「いじめは無くならないでしょ」
「学校なんか行かなくても大丈夫さ」・・・
・・・そんな声がいつもきこえる我が国。世にはびこる漠然とした風潮。
本書はその虚ろな正体を晴らそうとします。
データの分析によって浮かび上がる施策の提案、さらに筆者自らの率先しての実行が、具体的に、そして着実になされていく様がリポートされています。
いじめ問題には、長く悩んできた社会。
(我が国は、いじめ問題を30年も前から認識し、悩み続けているとの事)
筆者の方法論によって、その暗雲に、ついに裂け目ができ、明るい未来からの日差しが降り注ぐ、そんな日が来るやもしれません。
いや、我々自身がそうする当本人なのかもしれません。
本書を読み、私はいじめ問題に対して、じつにポジティブな視点を得ることができました。
特に、
いじめ被害者の思考を、「いじめ被害モード」から「いじめ解決モード」へ切り替えることが、被害者の心にとって、そしていじめを解決する道筋を進むにあたって、大切、
という部分に、共感しました。
いじめを受けていたあの頃、私はずっと受け身でした。
「解決するにはどうしたらいいか」という、自分を客観視する思考へ、頭をめぐらすことなどできなかった。
これができていたら、きっと、ずいぶんと楽だったし、いじめの終わった後も、より良い生活を送れたかもしれない。
この「解決モード」への切り替え促進は、本人もそうですが、大人のサポートが必須です。
その内容は、詳しくは本書をお読みいただければと思います。
「近頃のいじめは手に負えない」
「いじめなくしたいけど、やっぱり無理でしょ」
「学校の先生って、いじめ対策ちゃんとやってるの?」
または、
「理屈で考えることが好き」
「伝統的な習慣やしきたりに疑義あり」
そんな方におすすめの一冊です。
(塾にて常備。塾生は貸し出し無料。)
おすすめ度 ★★★★☆(星4つ。勇気が出ます!)
なお、
今後とも、このような記事、(塾長カトウが気になったこと・読んだもの等々)、カテゴリー「関心」にて、雑多でお目汚しではございますが、書き散らしていこうと思います。
どうぞよしなに。(いちいちトップに出ないように100年前の日付でやってみます)
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