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「誤解だらけの子育て」感想

  • 執筆者の写真: 加藤亮太
    加藤亮太
  • 9月29日
  • 読了時間: 6分
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「誤解だらけの子育て」成田奈緒子著


2024年1月1日 初版



小児脳科学者であり、「子育て科学アクシス」の代表でもある著者による、子育ての指南書を読みました。



特に、4つの点において、目から鱗が落ちる思いでしたのでご紹介します。




カトウのなるほどポイント1


やっぱり早期教育はよくないらしい。


最近、子育て指南系・教育系情報、その界隈でよく聞く、


「早期教育に労力をかけても、効果低い」

「乳幼児期の先取り学習は、やめたほうがいい」


という件については、

著者も同様の意見を第一章・第一項目で挙げるくらいですから、 「やはりそうなんだな」と再確認できたものでした。


なお、著者によると、

生きるのに欠かせない本能的な役割を担う「からだの脳」(0歳~5歳)、 勉強やスポーツにかかわる「おりこうさんの脳」(1歳ころ~)、 上記二つの脳をつなぎ、論理的思考や想像力を担う「こころの脳」(10歳ころ~)。


この順序で脳は発達していく。


順序を逆にしたり、飛ばしてしまうと、

(たとえば、「からだの脳」が成長する前に、「こころの脳」を発達させようとする)

脳全体がアンバランスになり、むしろ支障をきたす、 とのこと。




カトウのなるほどポイント2


“睡眠時間の確保”がすべてを解決する、

というくらい重要。



本書の中、著者は「睡眠時間の確保を」と、何度言ったことでしょう。


子どもに起きるすべての問題への方策、

と言ってもいいくらい


「睡眠時間を確保することで、改善する」

を、連発しています。


でも本当に、そういう例は多いようで(著者曰くです)、


子の不登校で悩んでいる

→「じゅうぶんな睡眠時間とれてる?」 →「とれてない」


子が母親に暴言を吐く。

→「じゅうぶんな睡眠時間とれてる?」

→「とれてない」

子が学校で問題行動。(暴力や偏食) →「じゅうぶんな睡眠時間とれてる?」

→「とれてない」


家庭の雰囲気がネガティブ

→「じゅうぶんな睡眠時間とれてる?」

→「とれてない」



これらは、睡眠時間確保を中心の生活、

に切り替えたあと、数か月で改善することがままあるようです。



著者の引用する「ネルソン小児科学」によると、

以下が必要な睡眠時間と推奨されています。



5歳、11時間。

7歳、10時間半。

9歳、10時間。

11歳、9時間半。

13歳、9時間15分。

15歳、8時間45分。

17歳、8時間15分。


さらに、

朝5時~7時に日光の光を浴びることで、

ハッピーホルモン「セロトニン」が脳内に大量に分泌される。

それによって、ポジティブシンキングで活発な動きが実現できるのだから、

これは欲しい。

よって、

もし仮に、「7時に起きる」としたら、

幼稚園年長5歳児なら、8時には寝始めるべき。


小学生低学年なら、8時半~9時には寝始める。


小学生高学年なら、9時~9時半には寝始める。


中学生なら、10時15分には寝始める。


高校生なら、10時45分には寝始める。



・・・


これを、やるには、家族全員の協力が必要ですね。


たとえば、とある子どもはお父さん大好き。

そんなお父さん、帰るのは毎晩9時。

どんなに「寝る前にお父さんに会いたい!」と言ってくれても、子どもがお父さんに「おかえり」と言っていいのは、

小学生高学年くらいから、ということになります。


子にも、親にも覚悟が必要のようです。





カトウのなるほどポイント3


ギリギリまで寝かせるのではなく、

遅くとも7時には起こすこと。



前述したとおり、

幸せホルモンの「セロトニン」は、朝5時~7時に分泌されます。

また、元気ホルモンと呼ばれる「コルチゾール」も朝の目覚めとともに分泌される。


ホルモン、ぜひとも欲しい。


なので、


ついやってしまいがちな、

「睡眠時間の確保のために、寝られるだけ寝かせておく」


ということは、

むしろ生活リズムにおいては、悪影響を及ぼしかねない。


ちゃんと起こすことが肝要、とのことです。

(もちろん、そのための早寝が前提)





カトウのなるほどポイント4


子どもの行動に問題があるとき、

両親がそもそも睡眠不足。


上述したことは、子供の脳についてのみ当てはまることではなく、

私たち大人にも当てはまることのようです。


子どもの問題行動について相談を寄せた保護者さんに

「親御さん、ちゃんと寝てる?」


と問うと、

「忙しくて、1時過ぎちゃうんです」

という寝不足回答があることはままあるそうです。



しかも、それが

家庭のため、ひいては子供のために、・・・

ということであることが多い。



これが保護者の脳にも悪影響を及ぼす。


寝不足で脳疲労。

ささいなことが気がかりに。

子どもに過干渉。

そんな自分を責める。

不安感が強くなる。

さらに寝不足に。


・・・・・・


この負のスパイラルに陥ってしまいがち、


とのこと。





親こそ、よく寝なさい!


とのことのようです。








睡眠がとても重要だ、ということ、


当塾の運営にあたって、耳が痛い部分です。



通常授業においては、


1コマ目 18時50分~20時20分


2コマ目 20時30分~22時


としている当塾。


2コマ目の終了時間、遅すぎる。


(中2の全科目、そして、中3の英語・中3の理社が、2コマ目設定です)


それはじつは、ずっと気がかりなところでした。



「キリのいいときには、早めに切り上げる」ということを、

意識してはいます。


キリがよければ、21時45分頃には終わりにすることが多いです。


1分でも早く、床に就くことができるように……

かつ、1つでも良い学習効率も上げられるように……





本書を読んで、さらにその思いを新たにしたのでした。




2コマ目通常授業の時間を前倒すことは、

すでに検討済みですが、

どうしても難しい、と打ち消してきました。


また、90分授業を、たとえば80分授業にすることも可能かどうか……

いや、その10分、大きいのです。

やれることが減るか、あるいは、ぎゅっと詰め込むことではじかれてしまう内容が多くありそう。



などなどかんがみ、


現状は、「早く帰せるときは帰す」ということを、継続していきます。



ただ、時間割の検討、今後もしていきます。



中1・中2の時間割においては、


1コマ目と2コマ目との間の休憩時間を0にする……

ということが一番現実的かもしれません。


(中3は、連続しているので休憩0は無理)




これは、決まり次第お伝えします。





とにかく、本書「誤解だらけの子育て」。

すでになんとなく知っていたり、聞いたことがある教育情報を、説得力もって再確認させてくれる本でした。


とくに乳幼児のお子様をお持ちの方に、子育て情報の基本を知ることができる本として、おすすめの一冊です。






・・・ただ、



「ちょっと最近、悩んでることがあって、機嫌が良いとは言えないんだ」

みたいな、


面倒くさい気分になることって、生きてりゃ、誰にでもあると思いますが、


それすらをも、


「昨日何時に寝た? ほらやっぱり寝不足だ。

悩むのは明日にして、セロトニンとコルチゾールを分泌させるために、入眠儀式を始めて、

21時には布団に入り、早起きしなさい」


と、言い捨ててしまうような、冷たい科学者的すぎる視点が、ちょっと私には刺激的過ぎて少々鼻持ちならない感は、ありましたが。


(じっさいに、著者の家庭での親子の会話が紹介されています。

こんな感じなんです)





※ 塾生保護者様へ 貸出、承ります。

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